今月の自然探訪 > 自然探訪2008年 掲載一覧 > 自然探訪2008年1月 アカネズミ
更新日:2010年6月1日
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今年の干支にちなみまして、ネズミのお話を致します。ネズミというと「汚い、気持ち悪いもの」の代表のように思われがちですが、森に住む「野ネズミ」は実にかわいらしい生き物です。写真は日本を代表する野ネズミの一種、アカネズミApodemus speciosus のものです。アカネズミは、体長10センチほどの、全国の森林に生息する日本固有の野ネズミです。学名のspeciosusというのは「美しい」という意味のラテン語です。まさに、名は体を表すといったところでしょうか。このアカネズミ、森の中では種子散布という大切な働きもしています。アカネズミは、秋になるとドングリなどの種子を大量に巣穴などに運び、冬越しのために貯蔵します。食べられずに残ったドングリは、土の中で発芽しやすい状態になるので、その場で芽生えが生じます。このようにしてアカネズミは、次世代の森林を育てるのに一役買っているのです。もちろん、アカネズミはそんなこととは露知らず、ただただ自分が食べることに一生懸命なだけです。子年(ねずみどし)の始まりにあたり、森と生きる野ネズミの生活に思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。
写真1 : アカネズミ
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