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更新日:2021年3月31日

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Journal of Forest Research Award 2021(2021年度Journal of Forest Research 論文賞)(正木 隆・阿部 真・直江 将司 他)

1.受賞名 Journal of Forest Research Award 2021(2021年度Journal of Forest Research 論文賞)(受賞日:2021年3月21日)
2.受賞者の氏名、所属

正木 隆(研究ディレクター)

阿部 真(森林植生研究領域)

直江 将司(東北支所)

小池 伸介(東京農工大学)

中島 亜美(多摩動物公園)

根本 唯(福島県環境創造センター)

山﨑 晃司(東京農業大学)

3.受賞理由

30km四方の山岳地域での10年間におよぶ6樹種400本強の樹木の結実を調査した結果を「Horizontal and elevational patterns of masting across multiple species in a steep montane landscape from the perspective of forest mammal management (急峻な山地帯における多種の結実豊凶の水平・標高パターン:森林性哺乳類の管理の視点から)」と題した論文にまとめてJournal of Forest Research誌にて発表したところ、大規模データを先進的なモデルアプローチで解析を行なうことで果実豊凶の時間的・空間的な同調性を解析した点が学術的に高く評価され、さらに現在大きな社会問題となっているツキノワグマの行動圏の変動要因対して科学的な根拠を与えたことによる社会的波及性が高く評価された。

4.受賞対象研究の紹介

樹木の結実豊凶はそれを餌資源として利用する大型哺乳類の行動に影響するが、多種の結実豊凶について、当該哺乳類の行動圏に相当する空間スケールで研究した例はほとんどない。また、結実豊凶の時間変動パターンに影響しうるはずの立地生産性が考慮された研究も少ない。そこで、標高差700~1600mに及ぶ30km四方のエリアで、ツキノワグマの好む6樹種(ミズナラ、コナラ、クリ、ブナ、ミズキ、ウワミズザクラ)の計403本の果実生産量を10年間調査し、結実の種内・種間同調性の水平距離と標高差による構造を解析した。その結果、ミズナラについては、標高が高く生産性の低い立地では結実の時間変動が大きくなる傾向がみられた。異種間の時間的な同調性については、ミズナラ、コナラ、ミズキの結実が同調する傾向を示し、ウワミズザクラはこの3種が凶作の年に結実が多い傾向を示した。ブナとクリは他の種とは独立に結実が年変動していた。空間的な同調性については、ほとんどの種は水平方向での空間自己相関を有し、特に4~10kmの範囲で相関が強まる傾向を示した。一方、標高方向での空間自己相関はほとんど見られなかった。異種間での空間相関はミズナラとコナラの間においてのみ見られた。以上の知見は、ツキノワグマの秋の行動の個体間差がナラ類の豊作年に大きくなり、ナラ類が凶作の年にはほとんどの個体の秋の行動圏が広がることを示唆するものであった。

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