林業の労働災害を減らすために

林業工学研究領域
伐採技術担当チーム長 上村 巧
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おさらいワイヤロープ(3)

ロープの撚り方と心綱について

ワイヤロープの撚り方

ストランドを撚り合わせロープにする際の撚り方には、よりの方向により「Zより」と「Sより」があり、それらの組み合わせによって「普通より」と「ラングより」があります。かつて撚りの方向を表すのに「左より」「右より」と言う言葉もあったようですが、諸外国の表記と反対であったことやわかりにくく間違えやすいことから、ZやSのアルファベットの斜線部分で示される向きで表すようになりました。通常のワイヤロープは「Zより」となります。「Sより」は2本のワイヤロープでつり上げる際に荷が回転しないように「Zより」と同時に使用するなど特別な用途以外では使用されません。

ワイヤロープのより方

次に「普通より」と「ラングより」とはストランドの撚り方向とロープの撚り方向によって区分されます。ロープの撚り方向とストランドの撚り方向が違うものを「普通より」、同じものを「ラングより」と呼びます。普通よりは古くから縄や絹糸、木綿糸などの比較的太いものに用いられた撚り方で、張力がかかると自然に撚りが締まり、ねじれや型くずれに対する抵抗が比較的大きいため、取り扱いが容易な特徴があります。ラングよりはイギリス人のラング氏(Jhon Lang)が考案した撚り方で、表面に現れている素線が長く、ロープ表面が円滑であるため摩耗に強い特長があります。また、素線がロープの中心軸となす角は普通よりロープに比べてかなり大きく、非常に柔軟性に富んでおり、曲げ疲労に対する抵抗も大きくなります。しかしながら、撚りが戻りやすいことや、ロープが回転しようとする力が大きくキンクという現象が起こりやすい欠点があります。そのため、取り扱いには十分注意する必要があり、片端が自由に回転して撚 りが戻るような使い方や、完全に張力がゆるむ場所ではキンクが生じやすいので使ってはいけません。

「キンク」とはロープにとっては致命傷とも言うべき損傷です。キンクの生じた部分は、見た目に元に戻すことは出来ても弱点として永久に残ります。張力がゆるんだ部分が自然に①のようになったらワイヤロープに回転しようとする力が生じています。これを放置して張力をかけると②③④のようにキンクとなります。①の状態でねじれを解消して張力をかけることを忘れないでください。普通よりのロープでも解き方が悪いなど、ねじれが入っているとキンクを生じます。

キンク

心綱(しんづな)

ワイヤロープの心綱には繊維心と金心(鋼心)とがあります。

繊維心:繊維心は天然繊維である麻(マニラ、サイザル、ジュート)やポリプロピレンを撚り合わせたものが使用されます。特に天然繊維の心綱はロープグリースを貯えやすいため、使用中に内部からの潤滑と防錆の効果が高い特長を持っています。金心ロープに比べて軽くて柔軟性が高いことや、ロープに加わる衝撃や振動を吸収できます。

金心(鋼心):金心にはストランドを用いるストランド心とワイヤロープを用いるロープ心があります。ストランド心は(Independent Wire Strand Core)の頭文字を取ってIWSCと呼び、心綱とその他のストランドが同じ構成のものを特に共心と呼びます。現在IWSCロープは柔軟性に乏しいのであまり用いられていません。ロープ心は(Independent Wire Rope Core)の頭文字を取ってIWRCと呼び、普通7×7という構成のワイヤロープを心綱に使います。普通よりロープにはラングよりのロープ心が、ラングよりロープには普通よりのロープ心が入っています。同径の繊維心ワイヤロープに比べ約10%重くなりますが、約12%破断荷重が大きくなります。他にもロープがつぶれにくいことや、伸びと径の減少も少ない特長があります。

IWRC 6×Fi25