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プレスリリース

2023年12月4日

岐阜県森林研究所
森林総合研究所

国産の黒トリュフを人工的に発生させることに成功しました

概要

岐阜県森林研究所では、平成27年度から令和元年度に、農林水産省農林水産技術会議事務局委託プロジェクト「森林資源を最適に利用するための技術開発(代表機関:国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所)」において、森林総合研究所と共同で、高級食材の国産トリュフの人工栽培を目指した技術開発の課題を担当しました。
このたび、平成28年に国内に発生する国産の黒トリュフの菌を接種したコナラ苗木を岐阜県内の試験地に植栽したところ、植栽して7年目の今年10月に、国内で初めて人工的に国産黒トリュフを発生させることに成功しましたのでお知らせします。

研究の経緯

トリュフは、世界三大珍味として知られる高級食材です。国内で流通するトリュフは、すべてヨーロッパや中国などから輸入されており、近年、その額は増加しており、国内での需要は高まっています(令和4年の輸入額は約20億円(財務省貿易統計データ))。
ヨーロッパでは黒トリュフなど一部の種で菌を接種した苗木による人工栽培が行われています。国内にもヨーロッパのものとは別種のトリュフが自生しており、それらを用いた国産トリュフの栽培技術の確立が望まれてきました。

研究の成果

トリュフは、生きた樹木の根に共生する菌根菌と呼ばれる仲間で、マツタケと同様に人工栽培は非常に難しいきのこです。平成28年4月と7月に国内産の黒トリュフであるアジアクロセイヨウショウロの菌を接種したコナラ苗木を野外に植栽したところ、植栽して7年目の今年10月に、地表面にきのこが発生している(2個、約50g)のを確認しました。これらきのこはコナラ苗木に接種したトリュフ菌に由来することがわかり(注1)、国内で初めて人工的に国産黒トリュフを発生させることに成功したことが示されました。
昨年、国産白トリュフであるホンセイヨウショウロが人工的に発生することが明らかになりましたが、それに続いての国産種の人工的発生です。今後は、キノコ発生の再現性を確認するとともに、短期間で安定的に発生させる技術開発を進めていきます。

(注1)アジアクロセイヨウショウロの遺伝情報(DNAマーカー)に基づいて、発生したきのこと植栽したコナラ苗木に接種した菌を照合したところ、遺伝的に同一であることが明らかになりました。DNAマーカーは、生物系特定産業技術研究支援センター・イノベーション創出強化研究推進事業「国産トリュフの林地栽培に向けての技術体系の構築」(令和4年度~令和6年度)にて、森林総合研究所が開発したものを用いました。

 

左、地表面に発生した黒トリュフ 右、黒トリュフとものさし
発生した黒トリュフ

 

 

お問い合わせ先

研究担当者:
森林総合研究所 東北支所 支所長 山中高史

広報担当者:
森林総合研究所 企画部広報普及科広報係
Tel: 029-829-8372
E-mail: kouho@ffpri.affrc.go.jp

 

 

 

 

 

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