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札幌市の野生ハナバチ類、過去60年で個体数40%超減少

掲載日:2024年2月22日

北海道札幌市の樹林を含む緑地で、1959年から野生ハナバチ類を同じ方法で採集しました(写真)。その結果、総個体数は過去(1959年、1979年、1989年)と現在(2018年、2019年)と比較すると、41%~50%減少していました。

世界規模で人間の活動に関わる複数の要因によって野生ハナバチ類の多様性と個体数の減少が懸念されています。しかし、国内における野生ハナバチ類の長期にわたる増減状況は不明でした。1959、1979、1989、2018、2019の各年4月から9月にかけて、同市内の北海道大学植物園(約13ha)と同札幌キャンパス(約180ha)のそれぞれにおいて、2週間に1度決まったルートを歩き、咲いている花に訪れている個体を直接採集するという方法で調査しました。採集された16属の野生ハナバチ類の個体数を調べたところ、60年間に植物園では50%減、札幌キャンパスでは41%減と、ヒメハナバチ属やコハナバチ属をはじめとする多くの属で顕著な減少が確認されました(図)。国内での野生ハナバチ類の組成や個体数の長期的な記録の発表は今回が初めてです。今後、この野生ハナバチ類の減少がどのような要因によって引き起こされたのかをさらに調べていく必要があります。

本研究は、Ecological Researchにおいて2023年8月にオンライン公開されました。)

写真:ホクダイコハナバチの標本の一部
写真:1979年に札幌市の北海道大学植物園で採集されたホクダイコハナバチの標本の一部。

 

図:北海道大学植物園とキャンパスにおけるハナバチ類の個体数の年変化
図:北海道大学植物園((a)B)と北海道大学キャンパス((b)U)におけるハナバチ類の個体数の年変化(1969、1979、1989、2018、2019年)。右の名称はハナバチ類の分類上の属名。

  • 論文名
    Wild bee surveys across 60 years reveal remarkable reduction of bee abundance in urban green areas in northern Japan(60年にわたる調査が北日本の都市緑地における野生ハナバチ類の著しい減少を明らかにする)
  • 著者名(所属)
    永光 輝義(樹木分子遺伝研究領域)、稲荷 尚記(北海道大学)、松村 雄(那須塩原市)、中村 祥子(多摩森林科学園)、滝 久智(生物多様性・気候変動研究拠点)
  • 掲載誌
    Ecological Research, 39(1), 42-53, 2023年8月 DOI:10.1111/1440-1703.12416(外部サイトへリンク)
  • 研究推進責任者
    研究ディレクター 正木 隆
  • 研究担当者
    樹木分子遺伝研究領域 永光 輝義

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