研究紹介 > 研究成果 > 研究成果 2024年紹介分 > 日本の森林では枯死木の炭素蓄積量は人工林の方が天然林より多い
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掲載日:2024年5月21日
日本の森林で枯死木が貯留する炭素量を調べたところ、人工林の方が天然林よりも多いこと(図(1))、枯死木を3つの構成要素に分類した場合(写真)の炭素貯留の特徴がわかりました。枯死⽊を含む森林土壌は炭素の貯蔵庫として重要な機能を果たしており、この成果は炭素蓄積の変化量を算定するモデルCentury-jfos*の精度向上を通して森林土壌炭素に対する気候変動や森林管理の影響の予測に役立ちます。
枯死木は気候変動枠組み条約で報告が義務づけられている森林での温室効果ガス排出・吸収量の算定対象となる6つの炭素プール(地上部バイオマス、地下部バイオマス、土壌、リター、枯死木、木材製品)の1つで、森林の炭素蓄積量の約1割を占める大きな炭素プールです(FAO、2010)。そこで、2011~2015年に全国の森林2674地点で枯死木が貯留する炭素量を調べたところ**、1ha当たり平均7.5トン(標準偏差±9.7トン)を蓄積しており、枯死木を構成する3要素では、倒木が最も多く、次いで根株、立枯木の順でした(図(2))。その理由として、人工林率が高い日本において、調査当時、間伐や除伐時に搬出されず林床に放置された材が多かったためと考えられます。
*土壌炭素の動態(動き)を扱うモデルの一つであるCENTURYモデルを日本の森林に適用できるように林野庁と森林総合研究所が開発しました。
森林土壌インベントリ方法書 第四期版(1)野外調査法:https://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/chukiseika/documents/5th-chuukiseika2-0.pdf
**林野庁森林吸収源インベントリ情報整備事業として2011~2015年に測定されたデータです。
森林土壌の炭素蓄積量調査:https://www.ffpri.affrc.go.jp/labs/fsinvent/
(本研究は、Carbon Management Volume 15において2024年3月に公開されました。)
図:枯死木による炭素蓄積量
(1) 人工林と天然林での炭素蓄積量の比較、(2) 構成要素別の比較
写真:枯死木の構成要素 (1) 倒木、(2) 根株、(3) 立枯木
(2)(3)の炭素貯留量としては地下部の根も含みます。本成果の調査対象は直径5cm以上です。
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