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掲載日:2024年5月28日
奈良・三重県境に広がる大台ヶ原の渓流に生息する水生昆虫などの底生動物は、総個体数や属数が減り、渓流ごとの群集組成の違いも小さくなっていたことなど、1983年からの約20年間で大きく変化していたことが分かりました。
多様なササ類で覆われていた大台ケ原の渓畔域の景観は、個体数密度の増加したニホンジカによる食害により大きく変化し、均質的なものになっています。また、二ホンジカの食害拡大による植生の減少のほかに、水温や気温の上昇、湿度の低下などの気候の変化も底生動物群集に影響を与えていると考えられます。
大台ケ原を流れる渓流で2006年に底生動物群集を調べ、1983年のデータと比較しました。その結果、1983年の底生動物の個体数や属数は、渓流によって大きく異なっていましたが、2006年になると渓流による大きな違いはみられなくなっていました。また、カゲロウ目の個体数は大きく減少し、カワゲラ目の個体数が増加していました(図)。底生動物の群集組成も大きく変化しており、1983年の群集構造は渓流によって大きく異なりましたが、2006年の群集では渓流による違いは小さくなりました。
(本研究は、Journal of Insect Conservationにおいて2023年12月に公開されました。)
図:大台ケ原の渓流に生息する底生動物群集は約20年間で大きく変化した
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