研究紹介 > トピックス > 研究広報特設サイト > 【特設サイト】2023年度 森林総合研究所公開講演会「持続可能な豊かな森を築くー資源を提供してくれる森を築くために今必要な事―」 > 時間軸も考慮した資源管理 —自立できる山づくりのために—
更新日:2023年11月7日
ここから本文です。
Q1:林業の地位の一つとして、炭素固定の面もあり、カーボンクレジットによる価値は今度どのように評価されるのか?カーボンクレジットとMAI(樹高成長量)の影響はあるか?
A1:今回の発表で紹介した樹高成長予測手法を基盤として、林分あたりの炭素蓄積量やその将来予測についても取り組みたいと考えています。また、このような取り組みで得られる結果は、カーボンクレジットの認証や発行の場面で基礎的な情報として活用できるように貢献して行きます。
Q2:スギの品種や系統は考慮されているのか(成長が違うと思うが)
A2:品種や系統に関する要因を加えなくても、高い予測精度だったことから、品種や系統の影響は今回用いた環境や林齢に関する要因に比べて重要度は相対的に低い可能性があると考えています。ただし、今後は、品種や系統の違いなどについても検討して行きます。
Q3:森林ビッグデータを利用して今後何ができるのか。森林の価値を高めるために、ぜひ炭素
A3:ご指摘の炭素蓄積に関するテーマを含めて、森林ビッグデータの利用に関しては多くの可能性があります。当所では、ソーシャルメディアを活用した研究(https://www.ffpri.affrc.go.jp/snap/2020/3-sakura.html)や過去の調査データのデジタルアーカイブ化(https://www.ffpri.affrc.go.jp/press/2020/20201023/index.html)など、森林ビッグデータの整備や研究を行っています。
Q4:樹高推定データについて、作製にかかるコストはどれくらいか。
最初の表で、生産性と経済性を軸に取られたと思うが、経済性は何をもって決まるか(定量化できるか。)教えて頂きたい。(大量消費地が近い、木材価格、相場が高い、輸送ルートが確立されている等)
森林の地図データ上に経済性を表示することはできるか(地図データ上に「生産性」と「経済性」を重ねて表示できたら便利かなと思いました。)
A4:推定モデルの構築に要する時間は、対象とする面積や計算に用いるPCスペックに依存します。郡上市の場合、約12時間を要しました。
経済性については、ご指摘のような要因が作用します。また、これら経済性の地図化については、現在、"日本全国の林地の林業採算性マトリクス評価技術の開発"と題する研究プロジェクトにおいて、まさに取り組んでいるところです。
Q5:自分の所有する山がどれだけの価値があり、どんな山にできるのかのゾーニングをしたい場合、どの様なツールがあるのでしょうか?ドローンでWI(湿潤度)も解析できるのですか?
A5:所有する森林の価値評価やゾーニングを行うには、樹種分布図や林齢等の情報が必要となります。ただし、簡易的な推定を支援するツールが開発され始めており、弊所でも"I-FOREST"というWebブラウザでも閲覧可能なシステムを開発中です。
ドローンから作成したDTM(地形モデル)を活用して湿潤度を計算することは可能です。
Q6:分析にかかった時間:2地域の面積とその為にかかった時間を教えてください。
地位と経済性の関連性:地位が高いと経済性を語る上で必要なるも、路網や市場までの距離など、他に考慮すべき点もあると思う。
A6:分析時間は、対象とする地域面積と使用するPCのスペックに依存しています。郡上市は約1,000km2、香美市は約500km2ありました。郡上市の場合は、高性能PCを用いて約12時間でした。
ご指摘の通り、今後は地位と地利を組み合わせた評価が必要になると考えています。現在、"日本全国の林地の林業採算性マトリクス評価技術の開発"と題する研究プロジェクトにおいて、この課題に取り組んでいます。
Copyright © Forest Research and Management Organization. All rights reserved.