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関西支所は、近畿・中国地方に福井県、石川県を加えた2府12県を対象に、森林・林業に関する研究を行っています。この地域には歴史ある林業地が多く存在する一方で、古くから開発が進んだ地域でもあり、社会経済の変化に伴い、里山などの森林の劣化や貴重な森林生態系の断片化がみられます。さらに、今日では木材生産だけでなく、自然環境保全など森林に対する期待は一層高まり、多様化しつつあります。
そこで、生物多様性保全、環境保全、木材生産などの多様な機能が発揮されるメカニズムを解明し、森林と人間社会との望ましい関係を見いだしつつ、森林の総合的な管理手法の開発をめざし、研究を進めています。さらに、本所等と連携しつつ、地球温暖化のような全国的・国際的な問題にも取り組んでいます。
役職 | 氏名 | 研究のキーワード |
支所長 | 鷹尾元(たかおげん) | 森林計測、測樹、リモートセンシング、遠隔探査、森林管理 |
産学官民連携推進調整監 | 軽部正彦(かるべまさひこ) | 木質構造、木橋、建築、構造物、木質材料 |
育種調整監 | 古藤信義(ことうしんぎ) | |
地域研究監 | 浦野忠久(うらのただひさ) | 天敵昆虫、森林昆虫、行動生態学、生物的防除 |
森林における水循環は気候条件と密接な関係があります。また、森林は変化し続ける生態系です。そのため、温暖寡雨な瀬戸内海式気候に位置する竜ノ口山森林理水試験地で、水流出のモニタリングを1937年から継続してきました。その観測を担うとともに、森林状態が水流出に及ぼす影響の定量的な評価、流域内での水移動プロセスの解明、そして将来の水流出変動の推定に取り組んでいます。
役職 | 氏名 | 研究のキーワード |
チーム長 | 細田育広(ほそだいくひろ) | 森林水文学 |
出水時の量水堰堤
岡山実験林気象観測露場
多様なタイプの森林が成立する関西地域で、森林が保全的に維持されていく仕組みを明らかにするために、森林の構造と動態についての研究と、森林構成種の生態的特性や生理的特性についての研究を行っています。また、森林資源の持続的な利用のためのスギ、ヒノキの人工林における効率的な更新技術や保育技術に関する研究を行っています。
役職 | 氏名 | 研究のキーワード |
グループ長 | 山下直子(やましたなおこ) | 植物生理生態学、森林保全生態学 |
主任研究員 | 中尾勝洋(なかおかつひろ) | 森林生態学、植生管理、温暖化 |
主任研究員 | 小笠真由美(おがさまゆみ) | 樹木生理生態学、木部水分通導 |
主任研究員 | 北川涼(きたがわりょう) | 森林生態学、群集、多様性 |
任期付研究員 | 小林慧人(こばやしけいと) | 森林生態学、竹林 |
研究専門員 | 高橋和規(たかはしかずのり) | 森林生態学、森林施業 |
低コスト再造林技術のためのコンテナ苗の活用
希少種の保全技術(コブシ)
森林には、炭素を蓄えて地球温暖化を抑止するほか、洪水・渇水を緩和したり山地の土砂流出を軽減する機能、渓流水質を清澄に保つ機能があります。このような環境変動をやわらげる森林の機能についての研究を行っています。また、林業活性化のための土壌生産力や、森林の防災機能に関する研究も行っています。
役職 | 氏名 | 研究のキーワード |
グループ長 | 岡本透(おかもととおる) | 森林土壌、立地環境 |
主任研究員 | 伊藤江利子(いとうえりこ) | 広域評価、土壌劣化 |
主任研究員 | 多田泰之(ただやすゆき) | 治山、危険地判定 |
主任研究員 | 高梨聡(たかなしさとる) | 森林水文、生物環境物理学 |
研究員 | 渡壁卓磨(わたかべたくま) | 土層発達、地形・地質 |
研究員 | シェーファ ホルガ クリスチアン | 炭素循環、土壌微生物、菌根菌 |
研究専門員 | 溝口岳男(みぞぐちたけお) | 森林土壌、菌根生態 |
森林と大気との間を移動するエネルギーと二酸化炭素を測定するための気象観測タワー
100年ほど前まではげ山だった地域に見られる未熟土
森林とその流域にはさまざまな生物が互いに関係しあって暮らしています。そこで、これら生物の遺伝子と種レベルの多様性の実態と、生物どうしの関係を調べています。さらに、多様性が保たれた森林やその中に暮らす生物を守り、失われた多様性を回復させるための研究を行っています。
役職 | 氏名 | 研究のキーワード |
グループ長 | 吉村真由美(よしむらまゆみ) | 渓流生態学 |
主任研究員 | 関伸一(せきしんいち) | 鳥類生態 |
主任研究員 | 神崎菜摘(かんざきなつみ) | 線虫学(分類・生態) |
主任研究員 | 八代田千鶴(やよたちづる) | 野生動物管理学、動物栄養学 |
渓流に棲む水生昆虫 左:カワゲラの仲間/右:トビケラの仲間
樹木は昆虫や微生物、野生動物などの林内の様々な生物の影響を受けながら生きています。そこで、森に棲む生き物による森林や樹木への被害を軽減し、森林を健康に維持するための研究を行っています。
役職 | 氏名 | 研究のキーワード |
グループ長 | 市原優(いちはらゆう) | 森林病理学 |
主任研究員 | 濱口京子(はまぐちけいこ) | 森林昆虫学、樹木害虫 |
主任研究員 | 向井裕美(むかいひろみ) | 応用昆虫学(行動・生態) |
サクラ属の害虫であるクビアカツヤカミキリ
樹木病原菌は樹木の天然更新阻害に影響
病原菌によって腐敗したドングリと枯れた実生
森林管理には世代を超えた長い年月が必要です。そこで、昭和初期に始まった人工林の収穫試験地調査を継承し、近畿・中国地域のスギ林やヒノキ林の成長や間伐効果を実証的に研究しています。また、空中写真や衛星画像、航空レーザー測量(LiDAR)データ、古地図などを用いて、地域の森林資源の構成や蓄積の分布を把握したり、森林景観や森と人との結びつきの歴史を辿る研究を行っています。
役職 | 氏名 | 研究のキーワード |
グループ長 | 齋藤和彦(さいとうかずひこ) | 森林資源管理、写真測量 |
主任研究員 | 平野悠一郎(ひらのゆういちろう) | 政策、アメリカ、中国、森林 |
主任研究員 | 田中邦宏(たなかくにひろ) | 固定試験地、長期モニタリング |
主任研究員 | 田中真哉(たなかしんや) | 森林資源管理、リモートセンシング |
研究専門員 | 家原敏郎(いえはらとしろう) | 森林資源管理、森林計測 |
白見スギ収穫試験地(1952年植林、新宮市)
電波が弱い樹冠下でのGNSS(GPS)測量
地域における林業セクターや大学、行政機関、民間などとの連携推進のため、産学官民連携推進調整監、地域連携推進室を置き、以下のような活動を行っています。
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