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更新日:2011年8月1日

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自然探訪2011年8月 土の中の花粉

土の中の花粉

春になると「花粉情報」という花粉飛散予報をよく見聞きします。この予報は、スギ花粉が飛び始める2月頃から、各種の花粉飛散が少なくなる5月頃まで流されているようです。花粉症は国民病とも言われるほど多くの人を悩ませていますが、それくらい大量の花粉が飛んでいる時期があるともいえます。
このように、植物は受精してタネをつけ子孫を残すためにたくさんの花粉を生産しています。とくに日本の森林を構成する主要樹種は風によって花粉が運ばれる風媒花で、これらの花は目立たないのですが(写真1)、花粉の飛散量は虫媒花に比べると格段に多いことが知られています。しかし、そのほとんどは受精に使われることなく地面に落ちてしまいます(写真2)。
落下した花粉の内容物は比較的早く分解されますが、花粉外膜と呼ばれる、いわば花粉の“殻”に相当する部分は物理・化学的にとても強靱なので、土の中でも長く残っています。とりわけ湿原や湖底などの嫌気的な条件のところでは、ときに数万年から数百万年もの長きにわたって保存されていることがあります。この外膜は植物の種類ごとに大きさ、形、表面構造などが異なるので(写真3、4、5)、年々地面に降り積もり土の中に眠っている花粉を調べれば、昔どんな植物が生育していたかがわかります。これを応用すると、過去から現在まで森林がどのように変化してきたかを知ることもできます。

自然探訪:写真1
写真1 多数の花(褐色の部分)をつけたケヤキ
(森林総研構内)
自然探訪:写真2
写真2 道路脇側壁に付着した花粉の帯(矢印)
手前は花粉飛散後に落下したアカマツ雄花
自然探訪:写真3
写真3 トウヒ属の花粉
自然探訪:写真4
写真4 カバノキ属の花粉
自然探訪:写真5
写真5 キク亜科の花粉
(写真3、4、5ともバーの長さは20μm)

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