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ホーム > 研究紹介 > イベント > 1996~2010年イベント・セミナー一覧 > 平成11年度森林総合研究所関西支所研究発表会

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平成11年度森林総合研究所関西支所研究発表会

来たる10月15日,京都市呉竹文化センターにて,以下の要領で森林総合研究所関西支所研究成果発表会を行います。これは,私どもの研究所における研究成果を広く一般の方々にも知っていただくための催しで,毎年行っているものです。どなたでもお越しいただけます(入場無料)

なお,駐車場はありませんので,お車でのご来場はご遠慮下さい。

  • 日時:平成11年10月15日(金曜日)午前10時~12時30分
  • 場所:京都市呉竹文化センター2階会議室(近鉄・京阪丹波橋駅下車すぐ,地図(JPG:37KB)参照)

プログラム

 

宇宙から森を見る-リモートセンシング技術を森林管理に活かす-

森林総合研究所海外森林環境変動研究チーム沢田治雄

1972年に人工衛星ランドサット1号が打ち上げられ,私たちに地球を見る新たな眼が提供されました。1年に何回も観測できる能力は、世界中で進行している森林伐採の状況や,過去に森林が消失した地域の現況などを刻々と伝えてくれます。地球環境問題も衛星観測による情報なしにはこれほど国際的な問題にならなかったでしょう。また,近年の情報処理技術の発達はようやくこの技術を地域的な森林管理へ生かす実用化の道を提供してくれるようになりました。特に地理情報システムとの併用は,森林型と立地環境との関連分析や,森林蓄積量と地形条件等による利用可能量の推定などを可能にしています。このような技術の現況をご紹介します。

遺伝子から森を見る-DNA情報を用いて森林のしくみを探る-

関西支所造林研究室主任研究官井鷺裕司

複層林は,環境保全的機能が高い施業方法として推進されています。しかし,木材景気がよかった時代でも複層林経営ができたのは,岐阜県の今須や滋賀県の田根などごく一部の地域でした。現在の経営環境で複層林施業が可能であるのか,調査例を紹介し考えてみたいと思います。

長期複層林では,上木は密度を低く維持するため気象害,スギでは不定枝の発生,林内光環境改善のための枝打ちでは変色・腐朽などの問題が生じます。一方,下層木では,形状比が高くなることは避けられず樹冠の偏奇とともに曲がりが生じ易くなること,先端が上木樹冠に達すると傷つくことなどもみられます。これらが,技術的に解決できて健全な林分となるのか検討します。また,短期二段林や帯状複層林の可能性についても紹介します。

先端機器で森を診る-樹木の渇きのシグナルを捕らえる-

関西支所樹病研究室長池田武文

樹木に水不足が生じると,樹体内の水の通路である道管や仮道管の中の水柱が途切れます。この現象をキャビテーション(空洞形成)と呼びます。その結果,道管や仮道管には空気が充満してエンボリズム(塞栓症)がおこり,水が通らなくなります。この症状が広範囲におこると樹木は成長が低下したり,枯れたりすることがあります。

ここでは,樹木に生じる水不足を知るための新たな取り組みとして,工学分野で用いられる非破壊検査法であるアコースティック・エミッション(音響の発生:ここでは,キャビテーションの際に超音波が発生する現象を言う)を利用したキャビテーションの検出ならびに医療機器であるMRI(磁気共鳴画像法)を利用したエンボリズムの検出について紹介します。