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来たる10月26日,京都市呉竹文化センターにて平成12年度研究成果発表会を行います。これは,私どもの研究所における研究成果を広く一般の方々にも知っていただくための催しで,毎年行っているものです。どなたでもお越しいただけます(予約不要,入場無料)。
森林総合研究所多摩森林科学園樹木研究室長横山敏孝
“日本は住みにくくなった”とスギの木が嘆いています。スギは日本固有とも言える樹木で,日本人は大昔からスギとともに暮らしてきました。神聖な木として神社に植えられ,500年近いスギ林業の歴史があり,さまざまな用途に使える優れた木材を生産してきました。そのスギが最近では「スギ花粉症」で騒がれています。
スギ花粉症患者の急増にはさまざまな要因が指摘されています。ひとつの要因にスギ花粉の増大が指摘され,森林・林業分野では,スギ林の花粉生産についての研究を進めています。なぜスギは多量の花粉を飛ばしているのか,花粉を減少させる方策はあるかなどです。また,花粉飛散予測の正確さを高めるための研究も実施しています。研究の現状を紹介します。
関西支所造林研究室長竹内郁雄
複層林は,環境保全的機能が高い施業方法として推進されています。しかし,木材景気がよかった時代でも複層林経営ができたのは,岐阜県の今須や滋賀県の田根などごく一部の地域でした。現在の経営環境で複層林施業が可能であるのか,調査例を紹介し考えてみたいと思います。
長期複層林では,上木は密度を低く維持するため気象害,スギでは不定枝の発生,林内光環境改善のための枝打ちでは変色・腐朽などの問題が生じます。一方,下層木では,形状比が高くなることは避けられず樹冠の偏奇とともに曲がりが生じ易くなること,先端が上木樹冠に達すると傷つくことなどもみられます。これらが,技術的に解決できて健全な林分となるのか検討します。また,短期二段林や帯状複層林の可能性についても紹介します。
関西支所経営研究室長野田英志
人工林資源の持続的・効率的な利用が求められていますが,近年の住宅建築の急激な変化に対応した国産材供給の新しい仕組み(システム)ができておらず,不十分な利用にとどまっているのが実状です。もちろん,古いシステムに代わる新しいシステムをつくる努力が,各地でなされていることも事実です。
ここでは,実需(川下の住宅建築)に対応したプレカット部材の供給から,乾燥製材品加工-丸太集荷-山元での人工林材の伐出に至る,新しい国産材供給の基礎的モデルを作成し,モデルの動的特性を計量的に評価し,モデルの修正・改良を行う思考実験の例を紹介します。手法としては,システムの動的特性を定量的に把握するのに有用なツールであるシステムダイナミックス(SD)を用いました。
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