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来たる10月19日、京都市アバンティホールにて平成17年度研究発表会を行います。これは、私どもの研究所における研究成果を広く一般の方々に知っていただくための催しで、毎年行っているものです。どなたでもお越しいただけます(予約不要、入場無料)。
変わりゆく里山-森林の健康という視点から-
(研究発表)
大住克博(地域研究官)
黒田慶子(生物被害研究グループ長)
関西地方の里山には、アカマツやミズナラ、コナラなどの二次林が広がっています。これらの林は今後健康に維持されるのでしょうか。森林病理学の予防医学的な観点からは、現在、マツとナラ類の大量枯死の問題があります。どちらも微生物感染による病気ですが、その発病のメカニズムや被害増大の原因が明らかになるにつれて、里山林と人間との関わり方が重要であることが浮かび上がってきました。ここでは特にナラ枯損を例に、病原体と媒介昆虫と樹木の関係、それに人間の活動がどのように絡み合っているのかを解説します。
高畑義啓(生物被害研究グループ)
現在ナラ類樹木の集団枯死が多発し、問題になっています。この樹木を枯死させる直接の原因になっているのは糸状菌、いわゆるカビです。この病気による枯死がどのような地域で発生し、どのような種類の樹木が枯れているのかについて紹介します。また、カシノナガキクイムシの媒介によって病原菌に感染すると、樹木内部でどのような変化が生じるのか、人工的に菌を感染させたナラ類樹木から得られた知見を中心に説明します。
衣浦晴生(生物被害研究グループ)
ナラ類集団枯死による被害を防除するためには、原因となる病原菌を媒介する「カシノナガキクイムシ」に関する詳細な研究が必須です。最近の研究調査によって明らかにされた結果をもとに、この体長5mm程度の小さな甲虫の様々な生態、マスアタックと呼ばれる集中的な加害の有様、現在行われている防除方法、さらに今後の研究の展望について紹介します。
大住克博(地域研究官)
現在の里山林の多くは、1960年代以降、里山利用の消滅とともに放置された、正確には「里山林の成れの果て」とも呼ぶべきものであり、植生においても、森林の構造の上でも、過去の「里山林」とは大きく異なったものになってしまっていることを紹介します。そして、今後の里山林管理を考える上では、里山林を変化しつつある存在として捉え、健康さの低下などのリスクにも留意していく必要があることを解説します。
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