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ホーム > 研究紹介 > イベント > 1996~2010年イベント・セミナー一覧 > 平成21年度公開講演会のお知らせ

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平成21年度公開講演会のお知らせ

 来たる10月21日、京都市アバンティホールにて平成21年度公開講演会を行います。これは、私どもの研究所における研究成果を広く一般の方々に知っていただくための催しで、毎年行っているものです。森林の保全・管理などに係わっている方や、動植物に興味のある方をはじめ、どなたでもお気軽にご参加下さい。(予約不要、入場無料)

  • 日  時:平成21年10月21日(水曜日) 13時30分~16時15分 (開場13時)
  • 場  所:京都市アバンティホール (JR京都駅八条口前 アバンティビル9F,地図)
  • お問い合わせ:森林総合研究所 関西支所 連絡調整室 (電話 075-611-1201(代表))/ポスター(PDF:234KB)

テ ー マ

「里山の二酸化炭素吸収量をはかる」

プログラム

(挨  拶)

森林総合研究所関西支所長藤井智之

(はじめに)

 森林と二酸化炭素(CO2)の関係

主任研究員(森林環境研究グループ) 小南裕志

地球温暖化の主要な原因と考えられるCO2。その削減に大きな役割を果たすのが森林です。 京都議定書での日本のCO2排出量の削減目標6%のうち、約60%は森林のCO2吸収能力に期待されています。しかし、森林はどのようにしてCO2を吸収するのでしょうか?その量はどの程度わかっているのでしょうか? 吸収したCO2はどこにいくのでしょうか?さらには、高いCO2吸収機能を持った森林とはどのようなものでしょうか? 森林は陸上にある生態系の中で最も複雑で、そのCO2吸収のメカニズムもまだ多くの謎に包まれています。 今回は、私たちが京都府南部のコナラが優占する里山で行っている森林のCO2吸収量観測の方法を解説し、これまでに得られている研究成果について紹介します。

(講  演)

CO2はどうのように測るのか-森林のCO2交換量の測定-

主任研究員(森林環境研究グループ) 小南裕志

現在、世界中の約200ヶ所の森林でCO2吸収量の測定が行われています。これは主に森林の中に建設された気象観測タワーを使って、CO2の濃度と風の強さを用いてCO2の吸収量を測定するものです。これらのデータが元になって、地球の森林のCO2吸収量の推定や気候変動時の予測が行われています。しかし、森林はいつも安定してCO2を吸収しているのではなく、夜には逆にCO2を放出したり、さらに吸収量も大きな季節変動を持っています。森林の樹種や年齢、気候条件などによっても大きく変化します。ここでは、私たちの行っている観測の紹介を通じて森林のCO2吸収量観測の方法と、何がわかって、 何がわかっていないのか、森林の気象タワー観測のいまを紹介します。

CO2は出たり入ったり-いろいろな生物によるCO2交換-

主任研究員(森林環境研究グループ) 深山貴文 

乱流変動法で気象タワーを使って森林と大気の間のCO2の動きを測る場合、森林のある山地斜面では、 特に夜の呼吸量の観測データを得にくいことが問題となります。この観測データを補完するためには他の観測手法の併用が必要です。その比較手法の一つが、森林の中にたくさんの箱を設置し、箱の中に閉じこめた葉っぱや幹、土、枯死木や落葉、 落枝などからCO2が出たり入ったりする量を観測して、 全ての要素を足し合わせるチャンバー法と呼ばれる観測手法です。この講演では、このチャンバー法についての紹介を中心に、どのような観測機器を用いて、どのような観測を行うことで多種多様な生物要素が行うCO2交換過程を明らかにして来たのかを、 写真等を交えて紹介します。

森林のどこにCO2は貯まるのか-森林の炭素蓄積-

日本大学生物資源科学部 上村真由子

樹木の光合成によって吸収されたCO2は、水と結びついて有機物という形で森林の内部に蓄積されます。これは、葉や枝、幹、根となって森林の樹木を大きくしていきます。しかし、葉や枝はいずれ死んで落葉、落枝として地面に降り積もります。また、樹木自身も長い時間の中で枯死して土に還ります。地面に堆積したこれらの有機物は、 菌や昆虫など森林生態系の全ての生き物の栄養源となって、再びCO2に戻ります。このようにして森林の中で炭素は、 大気から樹体そして土壌を経て再び大気へと循環を繰り返すため、これらの流れは森林の炭素循環と呼ばれます。そして、この循環の中で一部の炭素が森林土壌として森林の土のなかに貯まってきます。森林のCO2吸収は、 樹木への蓄積と土壌への蓄積を合わせたものであると言えます。 本講演ではこれらの森林への炭素の蓄積の過程がどのようにしてできあがっているのか、さらに長い時間で蓄積のしくみがどのように変わっていくのかについて紹介します。 

<今回の講演内容は、農林水産省プロジェクト研究「地球温暖化が農林水産業に及ぼす影響評価と緩和及び適応技術の開発」 並びに環境省地球環境保全試験研究費 「アジア陸域炭素循環観測のための長期生態系モニタリングとデータのネットワーク化促進に関する研究」 の成果を含んでいます。>

<温室効果ガス排出削減のため、公共交通機関によるご来場にご協力願います。>

 

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