今月の自然探訪 > 過去の自然探訪 掲載一覧 > 自然探訪2018年11月 CLTの歩道橋
更新日:2018年11月1日
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秋田空港から車で10分、国際教養大学でお昼をすませて散歩していると、周回道路のそばに木製物らしきものがぽつり(写真1)。近寄ってみると、そこに木製の歩道橋がありました(写真2)。
実はこれ、かなり珍しい歩道橋で、床の部分にCLT(Cross Laminated Timber)と呼ばれる新しい材料が使われています。横から床の断面をみると、木材の繊維方向と木口が交互に並んでおり(写真3)、木の板を交差させて張り合わせたものであることがわかります。
通常ですとCLTは建物の壁や床に使われるのですが、最近では屋外でも試験的に使われ始めており、この橋を使ってCLTの耐久性試験を行っているそうです。木材はそのまま屋外で使用すると腐朽してしまうので、CLTを繊維強化プラスチック(FRP)シートでまるごとラッピングすることによって腐朽しないように工夫されています。
この橋の作成に携わった方から施工時の写真をいただいたのでご紹介します(写真4)。CLTの上にスギの板材が敷かれており、この板材はメンテナンス時に定期的に交換されるものです。CLTには施工が早くて簡単という利点があり、歩道橋もあっという間に完成です。
(木材加工・特性研究領域 渡辺 憲)
写真1
写真2
写真3
写真4
(写真3、写真4は秋田県立大学木材高度加工研究所 佐々木貴信氏の提供)
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