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更新日:2020年12月1日

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自然探訪2020年12月 ユリノキ(Liriodendron tulipifera

ユリノキはモクレン科の落葉広葉樹です。北米原産の木で、明治初期に日本に持ち込まれました。上野にある東京国立博物館の正面にそびえ立つユリノキの大木は、渡来した30粒の種子から育った苗のうちの1本だそうです(写真1)。現在は、街路樹として全国に11万本以上のユリノキが植えられています。樹種別本数ランキング(高木)では15位で、特に関東・東北地域に多いようです(2017年、国総研資料より)。街路樹は細長い樹形に整えられていることが多く(写真2)、秋には葉が黄色から褐色に色づきます(写真3)。

チューリップのような形の花を咲かせることから英名はtulip treeといいます。5月ごろに咲く花は淡緑色で、大きな葉に混じって背の高い木の上のほうで上向きに咲くので、近くで目にしたことがある人は少ないかもしれません。蜜の分泌が多く、おいしい蜂蜜がたくさん採れるそうです。

ユリノキには、チューリップツリーの他にも別名・異名がたくさんあります。花の形から、チューリップノキ、ウッコンコウジュ(鬱金香:チューリップの漢字名)、レンゲボク、その特徴的な葉の形(写真4)から、ハンテンボク(半纏木)、グンバイボク(軍配木)、ヤッコダコノキ、真ん中から二つ折りになって出てくる若葉が馬の鞍の形に似ていることから、クラガタノキ(サドルツリー)など。果実の形から、ロウソクノキ、エンピツノキと呼ばれることもあるとか。

ユリノキの材は、見た目がポプラに似ていることからイエローポプラの名で流通しており、家具材等として利用されています。道管が年輪全体に均一に配置している散孔材で、肌目は緻密な印象、辺材の色は白く、心材の色は淡黄褐色~淡緑褐色です(写真5)。広葉樹のなかでは密度がやや小さく、木理が通直なため、鋸や刃物による切削加工や乾燥をしやすい樹種です。

そしてユリノキの注目すべき特徴は、成長が早いことです。特に平地での成長が良く、森林総研構内に植栽されていたユリノキには、樹齢約40年で胸高直径が50cm以上のものもありました。成長の早い早生樹は、短い期間で木材として利用できる大きさの丸太を生産できることから、新たな造林樹種として着目されています。大分県の日田市で、人工林多様化を目指してユリノキが植えられている例もあり、合板用材やきのこ原木としても利用可能との報告があります。いろいろな樹種を、それぞれの特徴を活かした用途に利用していくために、ユリノキについても基礎的な材質や加工特性に関するデータを蓄積しているところです。

(木材加工・特性領域 松村 ゆかり)

写真1:東京国立博物館のユリノキ
写真1:東京国立博物館のユリノキ(10月)

写真2:つくば市の街路樹
写真2:つくば市の街路樹(5月)

写真3:ユリノキの黄葉
写真3:ユリノキの黄葉(11月)

写真4:特徴的な形の葉
写真4:特徴的な形の葉(何に見えますか?)

写真5:ユリノキの柾目板
写真5:ユリノキの柾目板

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