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エリートツリー等の成長の優れた苗木を植林に用いるために、植栽後の成長を追跡調査し、その育苗履歴を遡上することで、林業種苗の生産方法の主流になりつつあるコンテナ育苗方法について最適化を図る。具体的には、
1.多様な立地および多様な育成方法によるスギコンテナ苗木の植栽事例を蓄積するために、試験地を造成し、年1回程度追跡調査を行う。試験地造成にあたっては、植栽後の成長を解析する際に属性として引用できるように、その育苗方法の履歴のみでなく、1個体ごとに苗木の形状を調査した上で、植栽に供する。植栽後早期によい成長を示す育苗方法を検討するために、追跡調査により取得した樹高を従属変数、植栽までに取得した育苗履歴や苗木の形状を独立変数として解析を行う。林地植栽後によりよく育つ属性が探索できた際には、コストも加味して、該当する育成方法が下刈りコスト削減に寄与できるか否かを検討する。
2.スギコンテナ苗の育苗スケジュール作成のうち、発芽については、播種後おおむね3日おきに発芽状況を把握し、累積発芽数の経時変化を把握すると同時に温度環境を測定し、積算温度による発芽の温度依存性を解析する。苗木の伸長成長については、芽生え移植時を初回として、以降、1回/月の頻度で苗高を調査し、苗高の経時変化を把握すると同時に温度環境を測定し、積算温度による苗木の伸長成長の温度依存性を解析する。
スギやカラマツ、ヒノキのエリートツリーなどについて、苗木が植栽当年から優れた樹高成長を示すためのグルタチオン施用技術を確立する。
1.種子品質、コンテナ育苗方法、植栽条件を変えて、グルタチオン施用の植林地での生育に対する効果を検証し、苗木が早期に植林地で150 cmを超える条件を設定する。種子の近赤外分光画像から種子の品質を示すSQI値を取得し、種子が発芽した後の初期成長とSQI値の関係を分析する。
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