成長に優れた苗木を活用した施業モデルの開発

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成長に優れた苗木による施業モデルの構築

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課題3:成長に優れた苗木による施業モデルの構築

(1)将来の利用を見越した材質・加工特性評価

目標

佐賀県において植栽された精英樹を含む成長特性の異なるスギ材について、強度特性を評価し、成長に優れた苗木の施業モデル構築に資するデータを提供する。試験地は佐賀県内6カ所に設定されており、林齢30-39年生の109品種を対象に成長の優れた精英樹を選抜し、立地条件とサイズを明確した個体について毎年50-100本程度伐採し、ヤング率と曲げ強さを測定する。また強度特性から施業モデルによって初期保育の見直しを行い、育林コストの削減幅を考慮して育林スケジュールや手法を再考するためのコンパートメントモデル(施業モデル内部に組み込む部分的なモデル)を開発する。

方法

1.佐賀県内の4か所の試験地に植栽されている精英樹および精英樹F1クローンについて、令和元年度~令和4年度にかけて、各年度100本程度の供試木を選抜し、立地条件(緯度、経度、標高他)とサイズデータ(樹高、胸高直径他)を測定するとともに、立木段階でのヤング率測定を行う。

2.供試木は玉切りを行い、縦振動法による素材段階でのヤング率測定を行う。非破壊測定の終了した素材は枠組壁工法用製材への製材と乾燥を行い、乾燥後の枠組壁工法用製材は森林総研における強度試験に供試し曲げ強さを測定する。

3.立地条件、遺伝条件およびサイズデータヤング率及び曲げ強さの測定データと比較検討し、3-(2)で提案する施業モデルへパラメータの受け渡しを行う。

(2)施業モデル構築のための評価支援ツールの開発と普及

目標

スギの一般次代検定林や地域差検定林の時系列データ、新たに設定する特定母樹の植栽試験地、植栽密度試験地および下刈り比較試験地のデータから、成長に優れた苗木の初期の成長特性を明らかにする。LYCSなどのシステム収穫表を、成長に優れた苗木の成長特性、密度植栽および下刈りスケジュールの変更に対応できるように改良する。北海道のカラマツについても、育種苗を用いた成林後の人工林を対象に、枝打ちや間伐など、保育段階における立木の成長や形状に関する調査を行い、既存のカラマツ収穫予測ソフトを育種苗向けに調整及び予測精度の検証を行う。

上記各課題の成果を踏まえ、本プロジェクトの研究成果の普及のため、初期保育から収穫までの成長、コストおよび材質をシミュレーションし、施業モデルの評価を支援する収支予測ツールの開発を行う。開発される評価支援ツールは、立地、樹種、地域性等のパラメータを変更することにより全国で使用できるものとする。また、評価支援ツールを活用した施業モデルの作成について、マニュアルや研修会を通じて普及を図り、最終的には、成長に優れた苗木の活用による普及を図り、全国で育林コストの30%削減を目指す。

方法

1.スギについては、平成15~17年度に全国の民有林を対象に行われた約5600か所の林分調査データを用い、初期の平均樹高と本数密度との関係、また平均胸高直径と本数密度との関係を解析する。

2.九州地域の特定母樹、エリートツリーに関する成長データ、カラマツ(クリーンラーチ等の育種苗)は道総研が設定した密度試験地のデータ等により、植栽密度と樹高成長・肥大成長の関係を明らかにする。

3.プロジェクトの各課題から提供されるデータの調整及び評価支援システムの仕様設計を行う。一般次代検定林や地域差検定林の時系列データ、新たに設定する特定母樹の植栽試験地、植栽密度試験地および下刈り比較試験地のデータ等から、成長に優れた苗木の初期の成長特性を明らかにする。収穫表を、成長に優れた苗木の成長特性、密度植栽および下刈りスケジュールの変更に対応できるように改良する。これらの研究成果の普及のため、初期保育から収穫までの成長、コストおよび材質をシミュレーションし、施業モデルの評価を支援する収支予測ツール(I-Forests)の開発を行う。開発される評価支援ツールは、立地、樹種、地域性等のパラメータを変更することにより全国で使用できるものとする。

4.予測ツールを活用し、育林コストのシミュレーションを行い、育林コストの削減に向けた提案を行う。