今月の自然探訪 > 自然探訪2007年 掲載一覧 > 自然探訪2007年5月 しまがれ現象
更新日:2010年6月1日
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北八ヶ岳では、高標高地のシラベ・アオモリトドマツ林において樹木が帯状に枯死する「しまがれ」が観察できる。このしまがれは、一定方向に広がるため、その後の稚樹の芽生えとその生育によって、樹高が徐々に大きくなってゆく「しまがれ林」が形成される。「しまがれ林」はあたかも森林の更新過程を一度に見るようなものである。なかでも縞枯山南西斜面のしまがれは規模が大きく、茅野の市街地近くからも遠望できるため、昔から不思議な現象として認識されていたようである。
しまがれ現象は、主に本州中部や北米東北部のモミ属を主とした亜高山帯針葉樹林において確認されている。また山岳地以外では、寒冷地などの海岸近くの森林でも同様の現象があることが報告されている。
しまがれは、厳しい環境、特に風の影響の強い場所における森林の維持機構の一つとして注目される。しまがれ林では、風などの環境ストレスにより林縁部樹木の衰退が進行し、その一方で、上層木の枯死に伴う林床光環境の変化などにより稚樹の侵入・成長が促され、森林が維持されていると考えられる。
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