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更新日:2010年7月1日

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自然探訪2009年8月 ヒナカマキリ

ヒナカマキリ Amantis nawai (Shiraki)

ヒナカマキリは日本の南西部、韓国の済州島、台湾に分布する非常に小さなカマキリです。成虫になっても体長は2センチほどしかありません。体は褐色に濃褐色や黒色の斑紋があります。メス成虫と日本や韓国のオスは翅がほとんど発達しない微翅型ですが、台湾産のオスは翅の発達した長翅型と発達しない微翅型があります。発見されたのは明治時代で、発見当初から台湾産の長翅型オスは知られていましたが、日本産のオスは全て微翅型のため、後にオスは全て長翅型で日本では見つかっていないという誤解を生んで、「日本産は全てメスなので単為生殖をしている」という間違った解釈が流布してしまいました。現在でも専門書や図鑑等にこのような解説がよく見られますが正しくなく、国内でも微翅型のオスが普通に見られます。

ナカマキリは照葉樹林の暗い林床を住処とするカマキリで、落葉の間を歩き回って、小さい昆虫をとらえて食べています。ショウジョウバエの仲間は好物の様で、生息地では、腐りかけのキノコを見つけたら、集まっているショウジョウバエを狙ってお祈りポーズをしているヒナカマキリがすぐそばにいるかもしれません。どこにでもいるカマキリではなく、安定した環境を好むようで、神社林等のあまり人手の入らない林に多いようです。卵で越冬し、木の幹等に、長さ1センチ以下のミニチュアのように小さな卵鞘を産みつけます。卵鞘あたりの卵数は10個程度と少なく、一つ一つの卵が外からわかります。成虫は8~10月頃見られます。

<写真1ヒナカマキリのメス>
写真1 : ヒナカマキリのメス

 

<写真2ショウジョウバエを狙うヒナカマキリ>
写真2 : ショウジョウバエを狙うヒナカマキリ

 

<写真3ヒナカマキリの卵鞘>
写真3 : ヒナカマキリの卵鞘

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