今月の自然探訪 > 自然探訪2009年 掲載一覧 > 自然探訪2009年9月 森で出会った野生動物
更新日:2010年7月1日
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森林を調査していると思いがけず野生の生き物と出会うことがある。かなり古い写真で色あせているが、その「決定的瞬間」を紹介する。
ある昼休み。日当たりの良い林道に座り込んで弁当を食べていると、同行者が「あれは何だ‥」と斜面上のササ藪を指差す。「どれどれ?」と目を凝らしてみると、遠くてよくわからないがササの上に黒っぽい何かがいる(写真の○印)。しかも下に、すなわち道に向かって移動しているようである。ついにササの中から道の上に姿を現した黒い塊は、警戒するようにあたりを見回し我々と目が合った。ヒグマであった。
北海道に生息するヒグマは、本州に生息するツキノワグマとは別種で、クマの仲間では最大になり北アメリカで人食いグマと恐れられるグリズリー(和名ハイイログマ)と同一種である。北海道のものを亜種として区別するときはエゾヒグマと呼び、日本の陸上に生息する哺乳類では最大である。
我々も驚いたが、クマの方も相当ビックリしたようで一瞬見つめあった後、クルリと振り返り林道を我々と反対の方向へ脱兎のごとく逃げ出した。野生のクマのスピードはすごく速く、少し先で道をそれて谷側の森に降りていってしまったので、あっという間に見えなくなってしまった。林道の上には、クマの消えた森に向かって大声で「がおーっ」と威嚇する人間の、少々マヌケな姿が残された。
またある時、本州のやや高山で尾根筋と谷筋の森林を調査して何度も昇り降りを繰り返し、尾根の岩場で休憩中のこと。茶色い影がハイマツの茂みからチョロチョロと這い出て、岩伝いに近づいてきた。ネズミにしては大きくリスのようにすばしっこい、それはオコジョであった。
オコジョは、ミンクやフェレットと同じイタチの仲間で気性の荒い肉食動物であるが、警戒心の強い野生のオコジョをこれほど近くで見ることは珍しい。本当に息も止めて撮られた写真である。夏と冬で毛が生え変わり、冬毛は全身真っ白であるが、これは夏毛である。
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