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更新日:2014年11月4日

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自然探訪2014年11月 ソウシチョウ

ソウシチョウ 日本の森林に広がる外来種

ソウシチョウLeiothrix lutea はヒマラヤや中国原産の外来種で、鮮やかな赤い嘴が印象的な美しい小鳥です。日本では古くから飼い鳥として知られており、以前は小鳥屋でもよく売られていたものです。しかし、その生態系への影響の大きさから、2005年に施行された「外来生物法」で「特定外来生物」に指定されたため、現在日本国内で許可無く飼育したり移動させたりすることは禁じられています。ソウシチョウは、ハワイ諸島にも持ち込まれて定着していますし、近年ヨーロッパにも侵入しています。

ソウシチョウが日本の森林で増え始めたのは1980年前後からですが、それから30年ほどの間に、本州中部以南と九州、四国に広く定着してしまいました。他の多くの外来鳥類と違い、都市近郊よりも山地の林に多く、日本の代表的な自然林であるブナ林などを中心に生息範囲を広げてきました。条件が良ければ極めて高密度で生息する様になるため、その地域の鳥類相は大きく変わってしまいます。

一度増えてしまった外来種を減らすのは多くの場合困難で、ソウシチョウも今後しばらくは日本の森林に増え続けるかもしれません。日本固有の生物多様性を維持するために、外来種対策が求められています。

 


写真1:生態調査のため足輪をつけられたソウシチョウ
写真1:生態調査のため足輪をつけられたソウシチョウ


写真2:ササ薮の中に作った巣で抱卵するソウシチョウ
写真2:ササ薮の中に作った巣で抱卵するソウシチョウ

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