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更新日:2022年12月1日

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自然探訪2022年12月 樹木園にタコさんウィンナー!?

森林総合研究所(つくば)には、誰でも見学できる第1樹木園があります。第1樹木園は研究所の敷地内にあり、水辺風致樹木、サクラ、タケ・ササ、暖温帯樹木、外国産広葉樹、シイ・カシ類、冷温帯樹木、亜寒帯樹木、外国産針葉樹コーナーがあります。ここは、樹木の形態や性質の観察、各種の研究材料として利用するための重要な施設でもあります。今回は、第1樹木園で見られる樹木の中で、面白いあだ名がついた樹木を中心にご紹介したいと思います。

写真1はその名も「タコさんウィンナー」とあだ名が付いた成長過程のザクロの果実です。ザクロ(ミソハギ科、学名:Punica granatum)は、西南アジア原産の落葉樹です。6月頃に朱赤色の花が咲いた後、「タコさんウィンナー」みたいな若い実がだんだん大きくなると秋頃には「タコ星人」のようになります。写真1(左)は6月下旬頃、写真1(右)は7月中旬頃に撮ったものですが、今でも、まだタコ星人が見られるかもしれません。

次にタコ星人の兄弟のようなあだ名が付いたのは、写真2(左)の中国原産ロウバイ(ロウバイ科、学名:Chimonanthus praecox)で、その名も「イカ星人」です。冬に咲く花の代表種の1つで、これからの時期に見られる花です(写真2(右))。写真2(左)は5月下旬に撮ったものですが、今の時期でも少し干からびたイカ星人を見つけることができるかもしれません。

次に可愛いらしいあだ名がついたのは、カルミア(ツツジ科、学名:Kalmia latifolia)という常緑樹で、小さな蕾が某有名お菓子メーカーの「ア〇〇チョコ」に似ています。原産地は北米やキューバで、園芸用として使われており、花の色はピンクがより鮮やかなものもあります。写真3は5月下旬に撮ったものですが、花は4月から6月頃が見ごろです。

さて、最後に紹介するのは日本に自生するクリ(ブナ科、学名:Castanea crenata)で、特にあだ名はありません。キラキラ光ってみえる白い穂状の部分が雄花で、その付け根についている小さなサボテンのような若いイガ(総苞)の中に入っているのが雌花です(写真4(左))。

若いイガが大きくなると栗らしくなってきて(写真4(右))、さらにこの実が熟してきて食べられるようになるのは、9月から11月頃です。葉っぱはクヌギとよく似ていますが、葉っぱのギザギザ(鋸歯)の先まで緑色があるのがクリです。一方、クヌギの葉のギザギザの先は緑色が抜けています。あたりに栗の実が見当たらなければ、葉っぱも観察してみてください。

森林総合研究所の第1樹木園には、このような魅力ある樹木がまだまだあります。お散歩しながら、新しいあだ名のつく樹木をぜひ探してみてください。

 

(木材加工・特性研究領域 児嶋 美穂、一部写真提供:安部 久)

写真1(左):6月下旬のザクロの実 写真1(右):7月中旬のザクロの実
写真1(左):6月下旬のザクロの実
写真1(右):7月中旬のザクロの実

写真2(左):ロウバイの実 写真2(右):ロウバイの花
写真2(左):ロウバイの実
写真2(右):ロウバイの花

写真3:カルミア
写真3:カルミア

写真4(左):6月上旬のクリの花 写真4(右):7月上旬のクリの実
写真4(左):6月上旬のクリの花
写真4(右):7月上旬のクリの実

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