研究紹介 > 特集一覧 > 2015年の特集一覧 > 特集:人里へのクマ出没について
更新日:2015年9月1日
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数年に一度、クマ(ツキノワグマ)が人里に大量に出没する年があります。その原因と対策について、クマの生態とともにご紹介します。
クマは日本で最大クラスの哺乳類で、植物の葉や果実、昆虫などを、それぞれが旬の時に食べます。何しろ巨体なのでたくさんの食物が必要です。クマは冬眠しますが、その間生命を維持するために、秋には特別たくさん食べて脂肪として蓄える必要があります。そのため、秋に、主要な食物である山の果実が不作の時には、多くのクマが食物を求めて低地へと行動圏を大きく広げ、大量出没となります。
(図1)クマの食物の季節変化
クマがたくさん食べている植物の果実が不作だと大量出没に繋がります。そのようなクマ出没の鍵植物は地域によって異なり、東北、中部地方の日本海側では、ブナ、ミズナラです。西日本では、コナラに加えてクマノミズキなどが鍵植物となる地域もあります。私たちは、クマの大量出没につながる鍵植物の豊凶を予測する方法を提案しています。
(図2)東北地方の多くでは、ブナが不作の年にクマの出没(有害捕獲数)が多い(Oka et al. 2004より一部改変)
(図3)人里の食物がクマを誘引する |
低地に降りたクマは、日頃の警戒心を忘れ、人里の食物の魅力に負けて出没してしまいます。過疎化などで収穫されないカキ、クリ、それに加えて放置された残飯、家畜飼料、農作物など人間由来の食物がクマを誘引してしまうので、適切に管理することが必要です。また、クマは、河川沿いや人里周辺の藪を利用して人里に侵入します。このような藪を刈り払うことも出没防止に有効です。
クマの出没は11月末まで続くので警戒が必要です。さらに詳しい情報は、次のウェブサイトをご覧ください。
(写真1) 森の中でごろ寝するクマ |
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