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更新日:2020年1月8日

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自然探訪2020年1月 アオモジ

アオモジ Litsea cubeba (Lour.) Pers.

クスノキ科の落葉小高木でもともとは九州南部や沖縄などのかなり暖かい地域に生えている樹木です。本州では山口県や岡山県の一部で生えていました。やはり暖かい地域に生える同じ仲間のバリバリノキやカゴノキは常緑ですが、本種は落葉性です。実に辛みがあるために、別名ではショウガノキやコショウノキとも呼ばれています。材は白く少し柑橘系の香りもすることから爪楊枝にも加工されることがあります。ただ、最近では春先の花の少ない時期の生花として広く使われるようになったほか、柑橘系のような芳香を果実から抽出してアロマオイルとしても普及するようになって、そのために栽培される地域も増えてきたようです。

果実は液果という種の周囲が食べやすい形をしているため、食べられて鳥などによって運ばれるため、栽培している場所から離れた周辺の土地に広がる逸出がみられるようになって、西日本地域の比較的温暖な地域に徐々に広がっているようです。写真は大阪府南部の竹林で竹を切った後に生えてきたアオモジですが、周囲にも大きなサイズのアオモジが多数生えていてもう少し前の時期からこの地域で野生化しているようです。

雌雄別株と言って、個体によって雄花ばっかりだったり雌花だけだったりします。秋遅い時期から蕾は見て分かる形に成長して、春先早い3月頃から葉が展開するより少し早く開花します。雄花の方が花もやや大きく、また枝の一カ所に付く花の数も多いため、平均的には雄株では枝に花がびっしり咲いて派手な感じで、雌株の方がぱらっと散らばっておとなしめに花がつく雰囲気です。

各地で広がって生えるようになったもう一つの要因はその成長速度の速さにあると考えられます。初期成長が早くて明るい場所で短期的に生育する樹木を先駆樹種と呼んでいますが、アオモジも同様の性質を持っています。針葉樹の林や竹林では林内が暗いため植物が乏しいことが多いのですが、地中で種子が明るくなるのを待って、木が切られたりして明るくなったときに一気に発芽・成長します。アカメガシワやヌルデ、タラノキなどは代表的な樹種ですが、アオモジはこれらを凌駕する成長速度を見せることがあるようです。

明るくなった初期段階では大きくもなく、数が多かった訳でもなかったのですが、それ以降平均して年あたり1m~2mの早さで樹高が大きくなるポテンシャルを持っています。結果として、当初一番手ではなかったアオモジが、気がつけば圧倒的に優占することが起きています。また、小さく若い個体でも実を付けて直ぐに新しい種を生産したり、幹が倒れても萌芽枝が伸びて直ぐに再生したり、柔軟に対応できる能力を備えています。開葉の時期も早めで少しでも光を有効利用しようとしています。こんなオールラウンドプレーヤーですが、基本は短期決戦型です。この先将来の森林はどのような形になるのでしょうか。なかなか予想のつかない所です。

(植物生態研究領域 奥田 史郎)

 

6年目の初夏のアオモジ樹高5m超
6年目の初夏のアオモジ樹高5m超

小さな3年目の個体での開花
小さな3年目の個体での開花

1年目稚樹(赤丸がアオモジ、他はアカメガシワ)
1年目稚樹(赤丸がアオモジ、他はアカメガシワ)

春先出芽4月上旬
春先出芽4月上旬

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