森林の環境 Q7
- Q7 : 木の枝が積雪に埋もれたとき、枝が下に引きずられて折れることがあるのはどうしてですか?
- A7 : 降り積もった雪は、たとえ気温がマイナスであっても、時間とともに自重で縮んで沈降し、密度が増加します。積雪の中に枝が埋もれていると、枝は積雪と一緒に下へ引っ張られます。このとき枝に加わる力は枝の水平投影面積(受圧面積)の上にある雪の重量よりもはるかに大きなものとなり、鉄棒やガードレールでさえ曲げられることがあるのです。
これを積雪の沈降力と言います。沈降力は受圧面上に存在する積雪荷重だけによって生じるのではなく、受圧面を中心としたある範囲の積雪荷重があたかも受圧面に布団を掛けたかのように作用することで生じるのです。
顕微鏡で積雪を観察すると、雪粒同士が結合を作ってつながり合っていることが分かります。このため枝の上にある積雪では、雪粒が個々に枝に作用するのではなく、ある範囲の積雪がさおに布団を掛けたときのように作用するのです。
-
(気象環境研究領域)

写真:積雪の沈降力によって引きずり下ろされたスギの枝