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更新日:2010年5月14日

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森林の環境 Q8

  • Q8 : 森林の有無によって積雪の量に違いは生じるのでしょうか?
  • A8 : 多くの森林では、積雪量と融雪量の両方に違いが生じます。
     常緑樹林内では林外(裸地)よりも積雪量が少なくなります。北海道のトドマツ・エゾマツの例ではその差が10~30%であったと報告されています。しかし、落葉樹林では林外とあまり差がありまあせん。林内で積雪が少なくなるのは枝葉に積もった雪が地表面に積もった雪よりも蒸発しやすいことが原因で、この現象を樹冠遮断(または樹冠遮断蒸発)といいます。ただし、風の強い場所では吹き払いや吹きだまりによる影響が大きいことがあるので、ここで述べたとおりにならない場合があり、注意が必要です。
     林内では林外よりも日射や風速が弱くなることから、融雪量は少なくなります。この森林による融雪遅延効果は、常緑樹だけではなく落葉期の落葉樹においても見られることが報告されています。
     樹冠遮断と融雪遅延効果の程度は森林の種類や状態、気象条件によって異なりますが、一般的には、積雪期間の初期から中期には樹冠遮断のために林内の積雪が林外よりも少なくなり、積雪期間の後期には逆に融雪遅延効果のために林内の積雪が多くなります。
  • (気象環境研究領域)

図:雪の樹冠遮断 
図:雪の樹冠遮断

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