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岩手大学農学部森林科学科の学生30名が令和7年5月29日(木)、学生実習のために東北育種場へ来場し、ツツジとテマリカンボクを用いたさし木、スギ・カラマツを用いたつぎ木の実習を行いました。
実習に先立ち、職員から林木育種事業の概要について説明するとともに、さし木、つぎ木の方法についてポイントや注意事項等の説明を交えながら実演しました。その後学生は6班に分かれ、さし木・つぎ木の実習を行いました。職員が各班をサポートし、学生が実際にさし木やつぎ木を行う際に、アドバイスを行いました。
さし木・つぎ木の実習後、苗畑に移動し、苗木の育成業務や育成した苗木がどのように活用されるのか等についても説明を行いました。
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職員による東北育種場の概要説明 | さし木の実技指導 |
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つぎ木の実技指導 | 苗畑の概要説明 |
森林総合研究所林木育種センター東北育種場は林木遺伝資源として保存する価値を有すると考えられる天然記念物や巨樹・名木などの樹木が高齢等の理由により衰弱がみられる場合、所有者からの申請に基づいて、母樹と同一遺伝子を持つ苗木を増殖し、後継樹として現地に里帰りさせる「林木遺伝子銀行110番」を行っています。
令和7年4月26日(土)に、「西光寺のシダレザクラ」の後継樹が里帰りしましたので、増殖の経緯や後継樹の植樹について紹介します。
青森県指定天然記念物である「西光寺のシダレザクラ」は推定樹齢300年以上、幹は2つに分かれ目通り幹周囲は、それぞれ約2.64mおよび1.55m、樹高約 5mに達する巨木で、本来の自生地ではない青森県で推定樹齢が300年を超える「西光寺のシダレザクラ」は貴重であり、毎年春には美しい花をつけ、その風情ある姿が人々に親しまれています。
しかし、幹の空洞化が進んで中央部分が欠損し樹勢が衰えてきたため、所有者の西光寺から林木遺伝子銀行110 番への要請を受け、令和5年(2023年)2月に枝を採取し、つぎ木による増殖を行いました。つぎ木に成功した後継樹10本から3本が里帰りし、そのうちの1本が所有者と遺伝資源管理課長の手により原木近くに植樹され、そのときの様子が青森県の各種メディアより報道されました。
後継樹が大きく成長し、親木と同じくきれいな花を咲かせることを願っております。
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西光寺のシダレザクラ全景 | 西光寺のシダレザクラからの枝採取作業 |
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養苗中の「西光寺のシダレザクラ」後継樹 | 里帰りした「西光寺のシダレザクラ」後継樹 |
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