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更新日:2022年3月11日
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写真1.照葉樹林の林床に生育するツチトリモチ
写真2.ツチトリモチの花序(赤い花穂と赤茶色い鱗片葉)
南日本に分布する寄生植物です。高知県四万十町にある市ノ又試験地では毎年11月下旬に毎木調査をしています。その際、プロット内で必ずツチトリモチの花穂が見られます(写真1)。本種はハイノキ属の根に寄生するとされるので、市ノ又試験地ではハイノキ(Symplocosmyrtacea)やクロキ(S.prunifolia)の根についていると考えられます。
ツチトリモチの花穂は一見するとなにか赤い実が落ちているように見えますが、少し土を除けてみると確かに下から伸びてきているのがわかります(写真2)。出始めの花序では白っぽい雌しべの先端が観察できるようですが短期間しか見られず、写真のような状態のものはわりと簡単に見つかります。
本種と同じような全寄生(葉緑素がなくて自分ではまったく光合成をしない)の被子植物は日本ではほかに、ヤッコソウ(Mitrastemon yamamotoi)やナンバンギセル(Aeginetiaindica)などがあります。
写真・文:大谷達也2020年11月25日高知県四万十町にて撮影
本記事公開日:2020年12月23日
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